ASICSの「HYPER SPEED 6」は、部活生からシリアスランナーまで幅広い層に支持される軽量デイリートレーニングシューズです。今作はミッドソールのフォーム増量によるクッション性の向上と、待望のアウトソール素材アップデートによって確かな進化を遂げました。このハイコストパフォーマンスモデルの実力を徹底レビューします。
Review
弱点のグリップ力を完全に克服し、
前足部が軽快に弾む万能練習靴。
特におすすめなランナー
- コスパの良い万能な練習靴を探している
- 自力でピッチを上げる感覚を養いたい
- 接地感を残したリフレッシュ用が欲しい
まずは結論とスペックから
このシューズがどんな一足なのか、評価と基本データを先に押さえます。
こんな疑問を解消します
asics hyperspeed6 基本スペック
hyperspeed6の最大の変更点は、前足部外側への「ASICSGRIP」の新規採用と、ミッドソール増量によるクッション性の向上です。前作までのグリップに対する不安が払拭され、より万能で天候を選ばない一足へと仕上がっています。
| 価格 | 12,100円(税込) |
|---|---|
| 重量(メンズ) | 約220g(メンズ27.0cm目安/公式値。実測では213gや187gという報告も) |
| ミッドソール | FLYTEFOAM (前足部+2mm・かかと+1mm増量) |
| アッパー | エンジニアードメッシュ |
| スタック / ドロップ | ヒール32mm / フォア26mm(ドロップ6mm) |
| アウトソール | AHAR LO + ASICSGRIP |
前作 HYPER SPEED 5 からの進化
結論として、HYPER SPEED 6で一番変わったのは前足部外側のグリップ素材とミッドソールの増量です。前作HYPER SPEED 5の単一FLYTEFOAM構成から、前足部で2mm・かかとで1mmフォームが増量され、アウトソール外側にASICSGRIPが新たに配置されました。
走った体感としては、前作までの極端な薄底感が和らぎ、ダイレクトな衝撃を抑える適度なクッション性を感じられるようになったことが一番の違いです。ドロップが7mmから6mmへ変更されたことで前足部への体重移動がスムーズになり、新採用のASICSGRIPのおかげで濡れた路面でもしっかりと地面を捉えて蹴り出せる安心感が得られます。
各パーツの構造
ミッドソール
ASICSの標準的かつ軽量なフォーム材である「FLYTEFOAM(フライトフォーム)」を単一構造でフルレングスに採用。上位モデルに搭載されるPEBA系素材のような爆発的な反発力や極端な柔らかさはありませんが、硬度約39.0HAというやや硬めの設定にすることで、適度な剛性と安定感を生み出しています。またつま先部分が反り上がったロッカー形状(ガイドソール構造)を取り入れており、フォーム自体が変形して弾むというよりも、シューズ全体の硬さを活かして自然に足を前へと転がすような乗り味に設計されています。前足部に2mm、かかとに1mmのフォームを追加したことで、これまでのシリーズ以上に衝撃吸収性が高められています。
アッパー
前作の単調なリピートメッシュから、部位によって編み方や密度を緻密に変化させる「エンジニアードメッシュ」へとアップデート。通気性を確保しつつも、スピード走行時に大きな負荷がかかる中足部やサイド部分の伸縮方向を適切にコントロールしており、横ブレを防ぐホールド感が強化されています。また生地内部には足を優しく包み込むレイヤーが配置され、長時間の使用や激しいトレーニング時の摩擦による不快感を軽減する実戦的な仕上がりとなっています。
アウトソール
今作の最も注目すべきアップデートとして、特性の異なる2種類のラバーが適材適所に配置されています。着地時に強い摩擦がかかるヒール部分や内側には、耐摩耗性に優れた「AHAR LO」を広範囲に敷き詰め、デイリートレーナーとしての耐久性を担保。一方、強い蹴り出しとトラクションが要求される前足部外側には、フラッグシップモデルにも採用される驚異的な摩擦力を持つ「ASICSGRIP」を新規配置しました。このハイブリッド構造により、軽量性を損なうことなく、濡れたアスファルトや不整地でもスリップを防ぐ確実なグリップ力を実現しています。
買う前に知っておきたいこと
サイズ感・実際の使用感・耐久性と、寿命を伸ばす履き分けの考え方です。
サイズ感はどう?
先に結論を言うと、いつものASICSと同じサイズか、ゆとりが欲しい場合は0.5cmアップを推奨します。足幅や接地幅がタイトに絞られたスピード重視の設計であるため、フィット感はややタイトに感じられます。
いつものASICSと同じサイズか、0.5cmアップも検討
- 足幅(ワイズ):アウトソールの接地幅が平均値を大きく下回るほど狭く設計されているため、標準からややタイトなフィット感です。
- 甲の高さ:標準的ですが、アッパーが伸縮を抑えた作りのため、シューレースの締め込みでしっかりと調節が可能です。
- 他ブランドとの比較:NOVABLAST 6などASICSの厚底ジョグモデルと比較すると、全体的に小さめで足をタイトに包み込むレーシングライクな作りです。
- 特記事項:前作と同じ足型ですがつま先周りの高さが実測でわずかに増しており、若干のゆとりを感じます。幅広向けに「WIDE」モデルも展開されています。
実際に履いたランナーの声
高いコストパフォーマンスと劇的に改善されたグリップ力に対する絶賛の声が目立つ一方で、クッション性が増したことで旧来の「薄底らしさ」を求める層からは賛否が分かれています。
アウトソールにアシックスグリップが採用されたことで、これまで弱点だった濡れた路面でのグリップ力が大きく改善され、天候を気にせず流しができるようになった
厚底シューズばかり履いている中で、接地感やピッチのコントロール性が鈍らないようにリフレッシュ用としてローテーションに組み込むのに最高の一足
軽量で足運びがスムーズであり、シューズの助力感が少ないため、自力で推進力を生み出すランニングの基本技術を身につけるのに適している
一方で、次のような気になる声もありました。
前作よりクッションが増量されたため、もはや純粋な薄底シューズとは言えず、不整地では逆に少し不安定さを感じることがある
クッション性自体はそこまで高くないため、ゆっくり長く走る際には衝撃を感じやすく、ある程度テンポよく走らないと本来の良さが引き出せない
アッパーや足幅がタイトな設計のため、足幅が広い人はサイズ選びに注意が必要であり、窮屈さを避けるならハーフサイズアップを検討すべき
どのくらい走れる?耐久性の目安
余計なパーツを省いたシンプルな構造と耐摩耗性に優れたアウトソールラバーにより、同価格帯のシューズの中でも高い耐久性を誇ります。
シンプルな構造とシンプルな素材で長寿命
- アウトソールのかかと部から中足部にかけて配置された「AHAR LO」は、アスファルトの摩擦に対する耐性が非常に高く、長距離のジョグを重ねても削れにくい特性を持っています。
- ミッドソールのFLYTEFOAMは上位モデルの超臨界発泡素材と比べて初期の反発力こそ控えめですが、その分フォームの圧縮による急激なヘタリが起こりにくいというメリットがあります。
- アッパーのエンジニアードメッシュも前作から強度が向上しており、総合して非常に長寿命なデイリートレーナーとして活躍します。
履き分けの重要性
HYPER SPEED 6は自力でピッチを刻みやすい特性があるため、軽快な足運びが求められる中速域での使用が最適です。「ジョグ」から「テンポ走(スピード)」の中間領域に位置づけるのが最適です。
RECOVERY / LONG
疲労抜きジョグ〜ロング走の日
極上のクッション性と安定感を誇り、脚への負担を極力抑えたい長距離走やリカバリー用途に最も適しているからです。
SPEED / RACE
本格的なインターバル〜レース本番
フルレングスのカーボンプレートと高反発フォームを搭載し、より少ない力で高い推進力を得て自己ベストを狙う日に活躍するからです。
他の選択肢と比べてみる
練習メニュー別の相性と、ライバル2足との違いから最終判断します。
どんな練習に向いている?
強い反発力による助力ではなく、自身の脚力とリズムでペースをコントロールするメニューにおいて最もポテンシャルを発揮します。
フォームがやや硬めで衝撃を感じやすいため、低速で長時間走る用途にはあまり向いていません。
程よいクッション性と圧倒的な軽量性により、日々のベース作りや軽めのジョグを快適にこなせます。
適度な剛性と高いグリップ力が相まって、キロ4分半〜5分半程度のリズムを一定に刻む走りに極めて好相性です。
接地感が明確で路面を強く蹴り出せるため、短距離を速いペースで追い込む際にもピッチを上げやすいです。
サブ3.5〜サブ4レベルのランナーであれば、ハーフマラソン程度までのロードレースで十分に実力を発揮できます。
ライバルシューズとの比較
同じ用途で比較されやすい2足と並べてみます。
hyperspeed6と比較したいシューズを選ぶ
adidas Adizero Duramo Speed 2 との違い
Adizero Duramo Speed 2は、定価9,900円という低価格が魅力のエントリーモデルです。ミッドソールに沈み込みの少ない「Lightstrike」を採用しており硬めの接地感は似ていますが、大きな違いは重量と安定性です。同モデルは27.0cmで262gと重めですが、ソール幅が広く安定感に優れています。一方のHYPER SPEED 6は220gと圧倒的に軽く、スピードに乗りやすい設計です。とにかく価格と安定感を重視するならAdizero Duramo Speed 2、自力で脚を回す軽快さを養いたいならHYPER SPEED 6です。
Nike Rival Fly 4 との違い
Rival Fly 4は、定価11,000円で前足部に「Air Zoomユニット」と「Cushlon 3.0」を搭載した推進力重視のモデルです。約258gと本モデルほどの圧倒的な軽さはありませんが、中足部のナイロン製シャンクによって高い安定性を発揮します。HYPER SPEED 6がシューズの転がりと接地感で進むのに対し、Rival Fly 4は弾むような押し返しを明確に感じる仕様です。前足部の弾む反発力や厚底に近い安定感を求めるならRival Fly 4、自力で脚を回す軽快さを養いたいならHYPER SPEED 6です。
よくある質問
Q前作から価格が上がりましたが、買い替えるメリットはありますか?
A定価は1,100円上がりましたが、それ以上のメリットがあります。最大の弱点だった濡れた路面でのグリップがASICSGRIPの採用で劇的に改善され、クッション性も増したことで、天候を問わず使える万能デイリートレーナーへと進化しています。
Qサブ3を狙うシリアスランナーの練習用としても使えますか?
A十分に活躍します。厚底カーボンシューズばかり履いていると接地感覚が鈍りがちですが、本モデルはダイレクトな接地感を残しているため、フォームの確認や自力でピッチを上げる感覚を養うためのジョグや流し用に重宝するはずです。
Q普段ワイドモデルを履いていますが、通常幅のサイズ感はどうですか?
A本モデルの通常幅(STANDARD)は、スピード重視の設計で接地幅もアッパーもタイトに絞られています。そのため足幅が広い方が通常幅を選ぶと窮屈に感じる可能性が高いです。幅広の方向けに「WIDE」モデルが展開されているので、そちらを推奨します。
Qマラソン初心者が初めて購入する1足として選んでも問題ないですか?
Aフォームが安定していない初心者の方がLSDなど長距離を走る場合、本モデルではクッション性が少し物足りなく感じるかもしれません。最初はGEL-NIMBUSなどの保護力が高いモデルを選び、スピード練習用の2足目として検討することをおすすめします。
Qアウトソールに追加されたASICSGRIPの効果は実際に感じられますか?
A明確に体感できます。前作までは濡れたアスファルトや白線の上で滑りやすさを感じる声がありましたが、今作のASICSGRIPは非常に摩擦力が高く、雨上がりの路面でもしっかりと地面を噛んで蹴り出せる安心感があります。
まとめ
HYPER SPEED 6は、定価12,100円という価格帯からは想像できないほどの高い完成度を誇る万能デイリートレーナーです。ミッドソールの適度な増量によって脚への優しさを確保しつつ、圧倒的な軽量性とASICSGRIPによる卓越したグリップ力により、自身の力でリズミカルにピッチを刻む走りを強力にサポートします。部活動生から自力を鍛えたいシリアスランナーまで、幅広い層の毎日の練習に最適です。
一方で、上位モデルのような極厚のクッションや強い反発力はないため、フルマラソン本番でのタイム短縮や、極度の疲労状態での長時間のリカバリージョグには不向きです。脚の保護を最優先したい場合はGEL-NIMBUS 28を、レースでさらなるスピードを求める場合はMAGIC SPEED 5など用途に合わせて履き分けることで、より効率的なトレーニングが可能になります。
[プロフィール]
- ラントク運営 じぇーぱぱ
- 中学、高校時代は100mを専門に活動
- 現在は週2回の練習で、12月のハーフ120分を目指して再スタート中
この靴を履いている方は、Xで教えてください。
