ASICS「SUPERBLAST 3」は、トップレーシングモデル由来の最先端フォーム材を惜しみなく搭載し、規格外の厚底でありながら驚異的な軽さを実現した次世代のスーパートレーナーです。単なるクッションシューズの枠を超え、ジョグからロング走、テンポ走まであらゆるペースを網羅する本機の実力と、その裏に潜む注意点を徹底レビューします。
Review
硬質なライド感を刷新し、
新次元のトランポリンバウンスを誇る万能靴。
特におすすめなランナー
- 1足で幅広い練習をこなしたい
- 脚の疲労を抑えて長距離を走りたい
- 弾むようなクッションを求める
まずは結論とスペックから
このシューズがどんな一足なのか、評価と基本データを先に押さえます。
こんな疑問を解消します
asics superblast3 基本スペック
superblast3の最大の特徴は、ミッドソール上層に新素材「FF LEAP」を採用したことです。これにより前作以上のスタックハイト(46.5mm)を獲得しながらも約10gの軽量化に成功し、より柔らかくエネルギッシュな走行感を実現しています。
| 価格 | 26,400円(税込) |
|---|---|
| 重量(メンズ) | 約239g(メンズ/公式値。実測では232gという報告も) |
| ミッドソール | FF BLAST PLUS + FF LEAP |
| アッパー | エンジニアードウーブン |
| スタック / ドロップ | ヒール46.5mm / フォア38.5mm(ドロップ8mm) |
| アウトソール | ASICSGRIP + AHAR LO |
前作 SUPERBLAST 2 からの進化
結論として、SUPERBLAST 3で一番変わったのはミッドソール上層の素材です。前作のFF TURBO PLUSからFF LEAPに変わったことで、スタックハイトが1mm増しながらも約10g軽量化され、性格がまるで違うシューズになりました。
走った体感としては、前作の「テンポ走特化の硬質でソリッドな反発」から、着地時に深く沈み込んでからトランポリンのように強く弾き返すソフトでバウンシーな性格へ大きく変貌したことが一番の違いです。疲労した脚でのリカバリージョグや30km以上のロング走で、前作以上に快適なクルージングが可能になった一方、高速域での足捌きのキレはマイルドになっています。
各パーツの構造
ミッドソール
トップレーシングモデル「METASPEED SKY TOKYO」シリーズに採用されている最新フォーム「FF LEAP」を上層に極厚で配置し、圧倒的な柔らかさと軽量性、エネルギーリターンを生み出しています。これだけ厚い高反発フォームを単層で使用すると着地時に足が過度に沈み込み横ブレを起こすリスクが高いため、下層部および土踏まずのアーチ周辺には適度なコシと硬さを持つ「FF BLAST PLUS」をベースレイヤーとして配置する2層構造(デュアルデンシティ設計)を採用。内側のFF BLAST PLUS層を山のように盛り上げて配置することで、疲労時の過回内や内側への倒れ込みを物理的に抑制し、長距離走行時の足裏の安定感を担保しています。
アッパー
アッパーには、軽量で通気性に優れると同時に適度な張りを持つ「エンジニアードウーブン」を採用。一般的なニット素材のような極端な伸縮性をあえて抑えた編み方で、極厚ミッドソールの上で足が横滑りしないよう中足部からかかとにかけて強力にロックダウンします。履き口周りには肉厚なパッドとしっかりとしたヒールカウンターが内蔵され、着地時の踵のブレや抜け感を防ぎます。シュータンは極薄ながらガセット構造を採用し、走行中のズレを防ぎつつ甲部分に吸い付くようなフィット感を提供します。
アウトソール
アウトソールには、濡れた路面でも強力なトラクションを発揮する「ASICSGRIP」と、耐摩耗性に優れた「AHAR LO」を組み合わせています。最大の特徴は、前足部中央に設けられたひし形のくぼみと、それに連動する「トランポリンポッド」と呼ばれる独自の幾何学構造で、着地時にこのポッドとくぼみがたわみ、FF LEAPの反発力と相まってスプリングボードのようにエネルギーを前方に解放します。また極厚ソールの不安定さを補うため、接地面は非常に広くフラットに設計され、面で路面を捉えて直進安定性を高めています。
買う前に知っておきたいこと
サイズ感・実際の使用感・耐久性と、寿命を伸ばす履き分けの考え方です。
サイズ感はどう?
先に結論を言うと、いつものASICSと同じサイズで問題ないという声が大半です。前作から前足部のボリュームが拡張され、非常にリラックスした足入れが可能になっています。
いつものASICSと同じサイズでOK
- 足幅(ワイズ):前足部(トゥボックス)の幅と高さに十分なゆとりがあり、長時間のランニングで足がむくんでも窮屈さを感じにくい構造です。
- 甲の高さ:ガセットタン構造により甲部分はしっかりとホールドされ、前足部の広さに対して中足部の固定力は高めです。
- 他ブランドとの比較:海外ブランドのタイトなモデルと比較すると、全体的なボリュームはやや大きめに感じる傾向があります。
- 特記事項:縦幅(全長)が標準よりわずかに長く作られているため、足幅が極端に細い方はハーフサイズダウンを検討する余地があります。
実際に履いたランナーの声
国内外のランナーの実走レビューを分析すると、新素材がもたらす驚異的な軽さとトランポリンのような反発力に対する絶賛の声が多い一方で、その柔らかさが引き起こす安定性の低下や一部の耐久性への懸念も散見されます。
46.5mmの極厚ソールからは想像できないほど軽く、フワフワとした魔法のような跳ね返りで足が自然と前に出る
前作の硬さが解消され、ゆっくりとしたジョグからロング走まで、どんなペースでも脚が保護されている感覚が強く快適に巡航できる
つま先部分が広くなり、長距離を走って足がむくんでも窮屈さを全く感じない。アッパーのホールド感も向上している
一方で、次のような気になる声もありました。
フォームが非常に柔らかいため、疲労時や不整地を走る際に足首がグラつきやすく、脚の特定の筋肉に不自然な疲労を感じることがある
アスファルトのみでの使用にもかかわらず、走行距離100マイル(約160km)程度で前足部アウトソールのポッドや、露出したフォームの摩耗が激しく進んだ
反発のベクトルがマイルドで深く沈み込むため、キロ4分を切るようなショートインターバル等の速いペースでは足捌きがもたつき、前作のようなテンポ走特化の鋭さは薄れた
どのくらい走れる?耐久性の目安
プレミアムな価格設定と極上のライド感を提供する一方で、物理的な耐久性(特にアウトソール)にはやや妥協が必要という実走データが多く報告されています。
クッションは長寿命だが、前足部ラバーの摩耗はやや早い
- ミッドソール上層の「FF LEAP」は超臨界発泡の均一なセル構造を持つため、長期間の圧縮に対してもヘタりにくく、クッション性や反発性の寿命自体は比較的長いと推測されます。
- 軽量化を優先してアウトソールのラバー配置を最小限に留めているため、着地時に強い摩擦が集中する前足部中央のラバーや露出したミッドソール部分の摩耗が早いという報告が国内外で複数確認されています。
- 走行距離160kmの段階で明確な削れが見られるケースもあり、アッパーやクッション自体は無事でもグリップ力の低下やソールの偏摩耗を理由に500km前後で第一線を退くランナーが多いと推測されます。
履き分けの重要性
本機はジョグからテンポ走まで万能にこなしますが、その真価は「脚への衝撃を極限まで遮断しつつ、効率的に一定のペースを刻むロング走」において最も発揮されます。
LONG / DAILY
週末の30km走や日々のペース走
極厚のFF LEAPが路面からの衝撃を完全に遮断し、後半のペースアップ時にも豊かなバウンスが走りを力強くサポートするためです。
SPEED / RACE
自己ベストを狙うレース本番やスピード練習
同じカーボンレスのSUPERBLAST 3では出しきれない最高速域を、FF LEAPとカーボンプレートの強力な反発でカバーし、ストライドを極限まで引き伸ばすためです。
JOG / RECOVERY
日々のリラックスしたジョグや疲労抜き
SUPERBLAST 3の極厚ソールは疲労時にブレを生むことがあるため、前足部の反発とグリップを両立させつつよりデイリーユースに適した安定感を持つNOVABLAST 6で脚を安全に回すためです。
他の選択肢と比べてみる
練習メニュー別の相性と、ライバル2足との違いから最終判断します。
どんな練習に向いている?
カーボンプレートを内蔵していないことで、自分の足の筋力でコントロールする余白を残しつつ、超厚底フォームの恩恵をあらゆるペース帯で享受できる稀有な設計です。
極上の柔らかさで脚を保護しますが、ペースが遅すぎるとソールの厚みゆえにグラつきを感じる場合があります。
圧倒的な軽さと自然な跳ね返りにより、日々のジョグが一段階速く、かつ体感的に楽になります。
サブ3.5〜4レベルのペースであれば、トランポリン効果がリズムを生みスムーズに巡航できます。
スタックハイトが極めて高くフォームが柔らかいため、接地時間を短くするスプリント動作にはもたつきます。
エリートランナーの勝負靴には向きませんが、完走〜サブ4を目標とする市民ランナーの脚持ちには絶大な効果を発揮します。
ライバルシューズとの比較
同じ用途で比較されやすい2足と並べてみます。
superblast3と比較したいシューズを選ぶ
Mizuno NEO VISTA 3 との違い
NEO VISTA 3は、ミッドソール内にグラスファイバー強化ナイロンプレートを内蔵し、ふくらはぎの負担を軽減する独自のソール構造「スムーズスピードアシスト」を搭載している点が最大の違いです。SUPERBLAST 3がフォーム材の弾力のみでナチュラルかつ自由な走りを提供するのに対し、NEO VISTA 3は構造的に重心移動をガイドし、足首の過度な背屈を抑え込むことで強制的に推進力を生み出します。重量は約265gとやや重いものの、プレートによる横ブレの抑制と疲労時の安定した足運びを求めるならNEO VISTA 3に分があります。フォームの弾力で自由に走りたいならSUPERBLAST 3、プレートによる走行ガイドと直進安定性が欲しいならNEO VISTA 3です。
Nike Vomero Plus との違い
Vomero Plusは、ナイキ最高峰の「ZoomX」フォームをフルレングスで極厚に搭載した、極上のクッショニング・クルーザーです。重量は約292gと重く、プラットフォーム全体がどっしりしているため、スピードを出さずにひたすら脚を労わるリカバリー用途に特化しています。SUPERBLAST 3(約239g)のようなテンポ走もこなす軽快さやトランポリンのような反発力はありませんが、足首周りの重厚なパッド配置や、とにかく深く沈み込むソフトなクッション性、広範なラバー配置による接地時の重厚な安定感という点では勝ります。幅広いペースをこなす軽快さを求めるならSUPERBLAST 3、ペースを問わず徹底的に脚を保護したいならVomero Plusです。
よくある質問
Q前作(SUPERBLAST 2)のような硬さや反発の鋭さは残っていますか?
Aいいえ。今作はミッドソール上層がFF LEAPに変更されたことで、前作の硬質でソリッドな反発から、トランポリンのように深く沈んでから跳ねるソフトな走行感へ大きくシフトしています。
Qカーボンプレートは内蔵されていますか?
Aカーボンやナイロンなどの硬質なプレート類は一切内蔵されていません。そのため足底の自然な屈曲を妨げることなく、フォーム材そのものの豊かなバウンス感をダイレクトに味わえます。
Qフルマラソンのレース本番でも使えますか?
Aサブ3.5〜完走を目指す市民ランナーであれば、脚のダメージを最小限に抑える強力な武器になります。ただしヒールの厚みが世界陸連の40mm規定を超えるため、公認大会で記録を狙う上位選手は注意が必要です。
Qサイズ選びで気をつけることはありますか?
A前作よりも前足部(トゥボックス)にゆとりが生まれ、縦幅もわずかに長く感じる傾向があります。基本は同サイズで問題ありませんが、足幅が狭い方はハーフサイズダウンも試着時に検討してください。
Q雨の日のマンホールや白線でも滑りませんか?
Aアウトソールに採用された「ASICSGRIP」は非常に優秀で、濡れた路面でもしっかりと路面を噛む強力なグリップ力を発揮します。天候に左右されず、日々のトレーニングに安心して投入できます。
まとめ
SUPERBLAST 3は、トップレーシングシューズに使われる超臨界発泡の最高峰フォーム材をデイリートレーニング用に最適化し、日々のジョグから週末の30km走まであらゆるシーンを1足でカバーしたいランナーにとって最適解となり得るスーパーシューズです。46.5mmという驚異的な厚みを持ちながら230g台に収まる圧倒的な軽さと、トランポリンのように沈んで跳ねる極上のバウンス感は、一度味わうと他のデイリートレーナーには戻れなくなるほどの魅力があります。
一方で、フォームが極端に柔らかくなったことで、疲労時に足首が横ブレしやすい点や、不整地での安定感に欠ける点には注意が必要です。前足部アウトソールの摩耗もやや早い傾向があるため、物理的な耐久性を最重視するランナーには不向きかもしれません。より強い安定感や強制的な走行ガイドが欲しい場合はMIZUNO NEO VISTA 3を、完全なリカバリー用途に振り切り重厚なクッションを求めるならNike Vomero Plusを代替案として検討することを推奨します。
[プロフィール]
- ラントク運営 じぇーぱぱ
- 中学、高校時代は100mを専門に活動
- 現在は週2回の練習で、12月のハーフ120分を目指して再スタート中
この靴を履いている方は、Xで教えてください。
