ASICS「SONICBLAST 2」は、世界陸連の規定(40mm)を超える46mmの極厚ソールと樹脂製プレートを組み合わせた、トップレベルの推進力と脚の保護を両立するスーパートレーナーです。前作で指摘された課題を物理的な構造変更によって見事に克服し、劇的な進化を遂げた本モデルの真価を徹底レビューします。
Review
前作の硬い接地感を解消し、
トランポリンのように弾む推進力。
特におすすめなランナー
- サブ3.5〜サブ4を目指したい
- ポイント練習の質を高めたい
- 樹脂プレートの扱いやすさを好む
まずは結論とスペックから
このシューズがどんな一足なのか、評価と基本データを先に押さえます。
ASICS SONICBLAST 2 基本スペック
SONICBLAST 2の最大の特徴は、ミッドソール中間にPebax樹脂製プレート「ASTROPLATE」を挟み込んだことです。フォーク(二又)形状にアップデートされ、上層の高反発フォームと連動して前作にはなかった圧倒的な反発力を生み出しています。
| 価格 | 22,000円(税込) |
|---|---|
| 重量(メンズ) | 約242g(メンズ27.0cm目安/公式値。実測では210gという報告も) |
| ミッドソール | FF BLAST MAX + FF TURBO SQUARED(ASTROPLATE内蔵) |
| アッパー | エンジニアードメッシュ |
| スタック / ドロップ | ヒール46mm / フォア38mm(ドロップ8mm) |
| アウトソール | ASICSGRIP |
前作 SONICBLAST からの進化
結論として、SONICBLAST 2で一番変わったのは内蔵プレートの形状とミッドソール上層の素材です。前作の平面形状プレートからフォーク(二又)形状へ変更され、上層フォームもFF TURBO SQUAREDに刷新されたことで、約14gの軽量化と反発力の大幅な向上を同時に実現しました。
走った体感としては、初代モデルで指摘されていた「板のような接地の硬さ」や「もっさり感」が完全になくなり、トランポリンのように心地よく跳ねるバウンス感が明確に強化されたことが一番の違いです。前足部で踏み込んだ際の沈み込みが深くなり、そこから強烈に押し出される推進力が加わったことで、キロ3分台の速いペースでも脚が自然と前に出るスムーズなライド感へと進化しています。
各パーツの構造
ミッドソール
2層構造を採用し、ランナーの足に直接触れる上層部のくぼみ構造(トランポリンポッド)には、従来比で反発性が約32.5%向上した軽量・高反発スーパーフォーム「FF TURBO SQUARED」を配置。下層部には安定感と適度な硬さをもたらす「FF BLAST MAX」を配置し、その中間にPebax(ペバックス)樹脂製の「ASTROPLATE」が挟み込まれています。このプレートは前足部中央が開いたフォーク(二又)形状にアップデートされており、着地時に上層の柔らかいフォームがプレートの隙間を通って深く圧縮されることで、前作にはなかった圧倒的な反発力を生み出す構造です。
アッパー
部位に応じて編み方や孔の大きさをミリ単位で変えた新型のエンジニアードメッシュを採用。中足部周辺は伸縮性を抑えてホールド力を高める一方、前足部(トゥボックス)には適度な空間と高い通気性を持たせ、長距離走行時に足がむくんだ際の圧迫を回避する設計です。ヒールカウンターは過剰な樹脂補強を行わず、アキレス腱に向かって上部へ広がるフレア形状を採用することで、摩擦や食い込みを防ぎながら踵の抜けを確実に抑制しています。
アウトソール
接地面の前足部域を中心に、アシックスが誇る高機能ラバー「ASICSGRIP」を戦略的に配置。濡れた路面や雨上がりのマンホール、横断歩道の白線上でも粘り強いトラクションを発揮するようパターンが彫り込まれており、悪天候下のスピード練習でもランナーがスリップの恐怖を感じることなく、確実に地面を捉えて推進力へと変換できる設計です。
買う前に知っておきたいこと
サイズ感・実際の使用感・耐久性と、寿命を伸ばす履き分けの考え方です。
サイズ感はどう?
先に結論を言うと、いつものASICSと同サイズか、つま先の余りが気になる場合はハーフサイズダウンを推奨します。基本的にはASICSの標準的なラスト設計に準拠していますが、つま先部分の設計に明確な特徴があります。
いつものASICSと同サイズ、つま先が余る場合はハーフサイズダウンも検討
- 足幅(ワイズ):スタンダード(2E相当)。伸縮性の高いエンジニアードメッシュが中足部を包み込むため、過度な窮屈さはありません。
- 甲の高さ:標準的。シューレースを締め上げると甲部分にぴったりとフィットし、走行中のズレを防ぎます。
- 他ブランドとの比較:全長が他の厚底シューズと比較して最も長い部類に入り、つま先部分の空間がかなり余る傾向があります。
- 特記事項:ヒール上部が外側へ反ったフレア形状に改良され、アキレス腱への食い込みや擦れが軽減されています。足幅が狭い方やジャストフィットを好む方はハーフサイズダウンが適しています。
実際に履いたランナーの声
軽量性と爆発的なバウンス感、そして雨天時のグリップ力に対して国内外から絶賛の声が集まっています。一方で、低速域でのソールの硬さや、つま先の長い独特のサイズ感に対しては注意を促す声も見受けられます。
46mmという規格外の厚さがあるのに、実測で210g(25.5cm)と驚異的に軽く、スピードを維持するのが非常に楽です
前作の嫌な硬さが完全になくなり、これぞスーパートレーナーといえる気持ち良いバウンス感に進化しています
雨の日の不規則なコースを走っても、ASICSGRIPのトラクションが完璧で全く滑る不安がありませんでした
一方で、次のような気になる声もありました。
プレートの剛性とフォームの組み合わせが、低速のリカバリージョグだと『木のような感触』に感じられ、ゆっくり走るのには向いていません
つま先部分がかなりナロー(細長)な設計になっているため、足幅が広いランナーは前足部に窮屈さを感じる可能性があります
反発が強すぎて無意識にペースが上がってしまうため、疲労抜きを目的としたジョグには完全にオーバースペックです
寿命は何km?耐久性の目安
アウトソールの耐摩耗性は極めて高く長期間の使用に耐えますが、ミッドソールの高反発素材の反発寿命には特性上の留意が必要です。
アウトソールは頑丈。反発の「美味しい期間」は短め
- ASICSGRIPを採用したアウトソールラバーは非常に頑丈で、長距離を走り込んでも削れにくく高いグリップ力を長期間維持します。
- トランポリンのような極上のバウンス感を生み出すミッドソールの「美味しい耐久性(最高の反発を得られる期間)」は、およそ100〜150km程度で落ち着いてしまうという実走報告があります。
- そのため、自己ベストを狙うポイント練習やレース用として最高のパフォーマンスを享受できる期間と、反発がマイルドになった後にデイリートレーナーとして履き潰すまでの期間とで、評価が大きく分かれるシューズです。
履き分けの重要性
SONICBLAST 2は曲げ剛性が高く、強制的に推進力を生み出すため「テンポ走(スピード)」や質の高い「ロング走」に位置づけるのが最適です。低速域ではソールが硬く感じられるため、脚を休ませる用途には別のシューズを組み合わせるローテーションが論理的かつ効果的です。
SPEED / RACE
テンポ走〜レース本番の日
フォーク形状の樹脂プレートと高反発フォームの連動により、ストライドが自然に延長され、速いペースを少ない力で押し上げてくれるためです。
JOG
毎日のデイリージョグ
プレート非搭載で脚への物理的な負担が少なく、41.5mmのクッション性と柔らかな反発がジョグのペース帯(キロ5分〜6分台)に最も適しているためです。
LONG / RECOVERY
ロング走や疲労抜きの日
46.5mmの極厚クッション(FF LEAP採用)が着地衝撃を最大限に和らげ、長距離走行や高強度練習翌日のリカバリーにおいて脚を確実に保護してくれるためです。
他の選択肢と比べてみる
練習メニュー別の相性と、ライバル2足との違いから最終判断します。
どんな練習に向いている?
樹脂プレートと高反発フォームによる強い反発力が特徴であり、ある程度荷重をかけてソールを屈曲させられる中〜高強度の練習用途に一番向いています。
ペースが遅く荷重が小さいため、樹脂プレートを十分に屈曲させられず、足裏に硬さを感じやすくなります。
クッション性は高いものの、シューズの構造上自然とペースが上がってしまうため、リラックスして走るにはオーバースペック気味です。
独自のロッカー形状とプレートの反発力が合わさり、キロ4分〜5分台の一定の速いペースを極めて楽に刻むことができます。
フォームの復元速度が速くレスポンスの遅延がないため、接地時間の短いショートインターバルにもしっかり追従します。
サブ3.5〜サブ4目標の非公認レースには最高の武器となりますが、スタックハイト46mmのため陸連登録者の公認レースでは規定違反となります。
ライバルシューズとの比較
同じ用途で比較されやすい2足と並べてみます。
SONICBLAST 2と比較したいシューズを選ぶ
New Balance FuelCell SuperComp Trainer v3 との違い
FuelCell SuperComp Trainer v3は、ミッドソールにPEBA配合のFuelCellと、湾曲したカーボンプレート(Energy Arc)を搭載した厚底モデルです。スタックハイトは40mm(ドロップ6mm)と世界陸連規定内に収まっており、重量は約265gとやや重めですが、広めのプラットフォームによる圧倒的な安定感と、一定ペースを淡々と刻む能力に長けています。一方のSONICBLAST 2は、約242gという圧倒的な軽さと、樹脂プレートによるマイルドな剛性、前足部の弾けるようなレスポンスが特徴です。カーボン特有の強い推進力と高い安定感を求めるならFuelCell SuperComp Trainer v3、圧倒的な軽さとキレのあるスピード変化を求めるならSONICBLAST 2です。
HOKA Skyward X 2 との違い
Skyward X 2は、PEBAフォームとEVAの間に凸型カーボンプレートを挟み込んだ極厚底モデルです。重量は約286g(27cm相当)と重厚ですが、トランポリンのような極上の柔らかさとバウンス感で、ジョグやロング走における脚の保護と疲労軽減に特化しています。対するSONICBLAST 2は、クッション性を持たせつつもフォームの硬度を適度に保っており、軽量性を活かしたスピード練習やレース本番での使用を主眼に置いたアグレッシブな設計です。極限のクッション性と脚への優しさを最優先してゆっくり長く走りたいならSkyward X 2、軽快な足運びでテンポ良くスピードを出したいならSONICBLAST 2です。
よくある質問
Qカーボンプレート搭載のレーシングシューズとの違いは何ですか?
A本モデルはカーボンではなく「Pebax樹脂製プレート」を採用しています。カーボンほどの硬さがないため、しなりやすく足への物理的な負担(筋肉痛など)が少ないのが特徴です。カーボン特有の強すぎる反発が苦手な市民ランナーでも扱いやすい設計です。
Qフルマラソンのレース本番で着用しても問題ありませんか?
Aサブ3.5〜サブ4を目指す市民ランナーのレース用として非常に優秀な性能を誇ります。ただし、ソールの厚さが46mmあり世界陸連の規定(上限40mm)を超過しているため、陸連登録者が記録公認を目指す公式レースでは使用できない点にご注意ください。
Q前作(初代SONICBLAST)を持っていますが、買い替える価値はありますか?
A十分に買い替える価値があります。前作で指摘されていた「板のような硬さ」や「もっさり感」が、新形状のフォーク型プレートと高反発フォームによって完全に解消されました。バウンス感が大きく向上し、約14gの軽量化も図られているため、別物レベルの進化を遂げています。
Q雨の日の路面や濡れた白線の上でも滑りませんか?
Aアウトソールに配置されたアシックス独自の「ASICSGRIP」が、濡れた路面でも粘り強いトラクションを発揮します。雨上がりのマンホールや白線の上でも滑りにくく、悪天候の日のスピード練習でも安心して踏み込めるという高い評価を得ています。
Q足幅が広い(甲高幅広)のですが、サイズはどう選べばいいですか?
Aワイズはスタンダード(2E相当)ですが、前足部(つま先部分)の全長がやや長めの細い(ナローな)作りになっています。幅広の方はいつものサイズを選んでシューレースで調整するか、可能であれば実店舗で足入れし、小指の当たり具合を確認することを強く推奨します。
まとめ
SONICBLAST 2は、自己ベスト更新を狙うサブ3.5〜サブ4レベルの市民ランナーや、日々のポイント練習で脚を確実に保護しつつ質の高いスピード練習を行いたいランナーに最適なスーパートレーナーです。前作の弱点であった接地の硬さを見事に克服し、46mmの極厚ソールでありながら約242gという驚異的な軽さと、トランポリンのように弾むバウンス感を実現しました。カーボンプレートにはない樹脂プレートならではの「マイルドな扱いやすさ」と「強烈な推進力」が絶妙なバランスで融合しています。
一方で、ソールに高い曲げ剛性を持たせているため、リカバリージョグやLSDのような低速域ではプレートの硬さを感じやすく、ゆっくり走る用途には不向きな側面があります。またスタックハイトが46mmあるため、陸連登録者の公認レースでは規定違反となり使用できない点にも注意が必要です。日々のリラックスしたジョグにはNOVABLAST 6、極限まで脚を保護したい長距離走にはSUPERBLAST 3など、目的に合わせて適切にローテーションを組むことをおすすめします。
[プロフィール]
- ラントク運営 じぇーぱぱ
- 中学、高校時代は100mを専門に活動
- 現在は週2回の練習で、12月のハーフ120分を目指して再スタート中
この靴を履いている方は、Xで教えてください。
