ASICS METASPEED EDGE TOKYOは、ピッチ型ランナーのバイオメカニクスを徹底的に解析し、新開発のA-TPU発泡素材「FF LEAP」を搭載することで異次元の軽量化とエネルギーリターンを実現した次世代のフラッグシップレーシングシューズです。前作から構造を抜本的に見直し、競技パフォーマンスの限界を押し上げる本作の真価を、最新のラボデータや実走テストのフィードバックを交えて徹底レビューします。
Review
異次元の軽量性とA-TPU素材の反発で、
後半の脚疲労を抑え転がる最速レーサー。
特におすすめなランナー
- ピッチを上げてスピードを稼ぐランナー
- フルマラソン後半での脚持ちに悩む人
- 足捌きの軽さと自然な転がりを求める人
まずは結論とスペックから
このシューズがどんな一足なのか、評価と基本データを先に押さえます。
こんな疑問を解消します
asics metaspeededgetokyo 基本スペック
metaspeededgetokyoの最大の技術的トピックは、新素材「FF LEAP」の採用による約20gの劇的な軽量化と、ピッチ型ランナーの推進ベクトルに最適化されたデュアルフォーム構造への移行です。従来の単一素材から2層構造へと進化することで、クッション性と前方への転がりがかつてない次元で融合しています。
| 価格 | 29,700円(税込) |
|---|---|
| 重量(メンズ) | 公称170g(メンズ27.0cm目安。実測では158.5〜168gという報告もある) |
| ミッドソール | FF LEAP(上層) + FF TURBO PLUS(下層) |
| アッパー | MOTION WRAP 3.0 |
| スタック / ドロップ | ヒール39.5mm / 前足部34.5mm(ドロップ5.0mm) |
| アウトソール | ASICSGRIP |
前作 METASPEED EDGE PARIS からの進化
前作の優れた転がり感を継承しつつ、ミッドソールの素材構成とカーボンプレートの配置角を刷新したことで、反発力と軽量性が飛躍的に向上しました。
走った体感としては、前作で見られた硬質な反発から、着地時に前足部が深く沈み込み、そこから滑らかに前方へとコロンと転がるような柔らかな乗り心地へ大きく変化しました。足元に履いていることを忘れるほどの圧倒的な軽さが、レース後半でもピッチの低下を防ぎ、無意識のうちに脚を前へと運び続けるアシストをしてくれます。
各パーツの構造
ミッドソール
足裏に直接接する上層部には、新開発のA-TPU発泡素材「FF LEAP」(デュロメーター硬度24.5 AC)を配置。着地時の衝撃を瞬時に吸収し、高いエネルギーリターン(前足部で76.8%、ヒールで78.3%)を提供します。地面に近い下層部にはPEBAベースの「FF TURBO PLUS」(硬度35.9 AC)を配置し、過度な沈み込みを防いで踵から中足部にかけての安定性を担保しています。2層の間に挟み込まれたV字形状のカーボンファイバープレートは、SKY TOKYOと比較してより足裏から離れた低い位置に設定されており、ランナーの重心が前方へ移動する際のテコとして機能し、ピッチの加速を強力にサポートします。
アッパー
極限まで軽量化された最新のエンジニアードメッシュ「MOTION WRAP 3.0」を採用。親指周辺の補強パーツすら排除するほど薄く、靴下が完全に透けて見えるほどの圧倒的な通気性を誇ります。横方向への伸縮性に優れており、走行時の足の自然な広がりを妨げません。一方でヒールカウンター周辺のパッド類は徹底的に削ぎ落とされており、足首を固定するための構造的剛性は最小限に留められています。
アウトソール
濡れた路面でも卓越したトラクションを発揮する独自配合のラバー「ASICSGRIP」が前足部を中心に広範囲に配置されています。ピッチ型ランナーが中足部から前足部にかけて荷重を移動させる特性を考慮し、前足部にはオーバル状のカットアウトを設けたラバーパネルを採用。対照的にヒール部分は接地時の摩耗を防ぐための極小のラバーパッチが配置されるのみとなっています。
買う前に知っておきたいこと
サイズ感・実際の使用感・耐久性と、寿命を伸ばす履き分けの考え方です。
サイズ感はどう?
極限の軽量化を実現した薄手のアッパー構造により、足全体をタイトに包み込むレース特有のフィット感を提供します。
いつものASICSのレーシングモデルと同じサイズでOK
- 足幅(ワイズ):スタンダード幅。兄弟機のSKY TOKYOと比較すると、前足部から中足部にかけてややタイトな設計で、足のブレを防ぐホールド感が強めです。
- 甲の高さ:標準的ですが、MOTION WRAP 3.0の伸縮性と薄さにより、シューレースの締め具合で柔軟な調整が可能です。
- 他ブランドとの比較:Nike VaporflyシリーズやAdios Proシリーズなど、一般的な他社フラッグシップレーシングシューズと同等のサイズ選択で問題ありません。
- 特記事項:ヒールパッドが大幅に削減されているため、踵が細いランナーは抜け感を感じるリスクがあります。ヒールロックの結び方などで対策を講じましょう。
実際に履いたランナーの声
国内外のランナーやラボのデータからは、かつてない軽さと柔らかな転がり感に対する高い評価が集まる一方で、ヒール周りの安定性やフィッティングに対する懸念の声も確認されています。
前足部に集中したFF LEAPが体重をかけるだけで潰れ、自然に足が押し出されるため、マラソン後半でも疲労感なくピッチを維持できた
もはや薄底シューズかと思うほどの驚異的な軽さでありながら、高い衝撃吸収性があり、1km変化走のスピード練習で自己ベストを更新できた
前作のエッジパリよりも乗り心地がマイルドになり、ペースを少し落としてもシューズに急かされる感覚が減り扱いやすくなった
一方で、次のような気になる声もありました。
ヒールカウンターが薄すぎるため踵のホールド感が低下しており、コーナリングや荒れた路面での足首の安定性に強い不安を感じた
ミッドソールのフォームが非常に柔らかいため、低速で走ろうとすると反発を抑え込むために体幹の筋力を余計に消耗してしまう
踵接地の癖が強いため、アウトソールラバーが配置されていないヒール外側のミッドソールが早期に削れてえぐれてしまった
どのくらい走れる?耐久性の目安
現代の「厚底2.0」と呼ぶべき極限の軽量化プロセスを経ており、レース当日のパフォーマンスを最優先したデリケートな構造となっています。
300〜500kmが目安。勝負所への投入に特化
- 新素材のA-TPUベース「FF LEAP」は、従来のPEBAベースのフォームと比較して圧縮永久歪み(ヘタリ)に強く、クッション性の維持能力自体は非常に優れている。
- 170gという重量を実現するためアッパー素材が極限まで薄く作られており、摩擦や引っかきによる破れのリスクが内在している。
- アウトソールの「ASICSGRIP」は高耐久だが、ヒール部分のラバー被覆面積が極めて少なく、ヒールストライク主体のランナーは露出したミッドソールが数十kmで急激に削れる報告がある。
履き分けの重要性
METASPEED EDGE TOKYOは高いエネルギーリターンと不安定さを内包した生粋のレーシングギアであり、身体への負荷を分散させるためには用途に応じた適切なローテーションが不可欠です。
RACE / SPEED
レース本番〜高強度ポイント練習
圧倒的な軽量性とV字カーボンがもたらす転がりで、レースペースでのランニングエコノミーを極限まで高めます。
LONG / JOG
日々のジョグ〜ロング走
カーボンプレート非搭載ながら大容量のFF LEAPとFF BLAST PLUSを備え、脚への負担を抑えつつ高い反発力を提供します。
他の選択肢と比べてみる
練習メニュー別の相性と、ライバル2足との違いから最終判断します。
どんな練習に向いている?
ピッチを引き上げる前方への強い推進力と、極度に柔らかいミッドソール特性から、METASPEED EDGE TOKYOは高出力で前傾姿勢を保てるペース帯においてのみ真価を発揮します。
フォームが柔らかすぎかつ安定性が低いため、低速では足首や体幹でブレを抑え込む必要があります。
構造のデリケートさと価格の高さから、日常的な走行で消耗させるにはリスクが伴います。
V字プレートによる自然な転がりが、中〜高強度のペースを一定のリズムで刻む作業を助けます。
170gの軽さとFF LEAPの機敏なバウンド力により、脚の回転数をスムーズに上げられます。
前足部の豊富なクッションがフルマラソン後半の筋疲労を遅らせ、歩数を落とさず押し切れます。
ライバルシューズとの比較
同じ用途で比較されやすい2足と並べてみます。
metaspeededgetokyoと比較したいシューズを選ぶ
adidas Adizero Adios Pro 4 との違い
METASPEED EDGE TOKYOがV字プレートのテコを利用し「転がるようにピッチを刻む」特性を持つのに対し、Adios Pro 4は「LIGHTSTRIKE PRO」フォームとグラスファイバー製のENERGYRODS 2.0の組み合わせにより、「バネのように強く弾き出す」特性を持ちます。METASPEED EDGE TOKYOの方が約30g軽く(170g vs 200g)、足捌きの軽快さと自然な接地感で勝りますが、Adios Pro 4は前足部で踏み込んだ際の芯のある剛性感と、強烈な前方推進力の面で優位に立ちます。足捌きの軽さとピッチの回しやすさを重視するならMETASPEED EDGE TOKYO、中足部〜前足部での力強い弾きと剛性を好むならAdios Pro 4です。
Nike Alphafly 3 との違い
Alphafly 3は、前足部に配置されたAir Zoomユニットと大容量のZoomXフォーム、そしてフルレングスのFlyplateが生み出す、トランポリンのような強烈な垂直バウンドと圧倒的な衝撃吸収性が最大の特徴です。対照的にMETASPEED EDGE TOKYOは、エアーポッド特有の足元のグラつきや沈み込むクセがなく、より路面に近いダイレクトで自然な転がりを提供します。重量面でもMETASPEED EDGE TOKYOの方が約32g軽く(170g vs 202g)、価格面でも約1万円の差(29,700円 vs 39,655円)があり、コストと軽快さを重視するランナーには本モデルが魅力的な選択肢となります。エアーの反発による規格外のバウンド力を求めるならAlphafly 3、足捌きの軽さと自然な転がりを求めるならMETASPEED EDGE TOKYOです。
よくある質問
QSKY TOKYOとEDGE TOKYO、自分の走法に合わせてどう選べばよいですか?
Aスピードを上げる際にストライド(歩幅)が大きく伸びるランナーには、フラットなプレートで垂直方向への強い反発を生むSKYが適しています。一方、ピッチ(歩数)を細かく上げて加速するランナーには、V字プレートで自然な前方への転がりを促すEDGEが最適です。迷った場合は、より多くの走法に対応しやすいEDGEを推奨します。
Qアシックスグリップの性能は雨の日の路面でも信頼できますか?
Aはい。ASICSGRIPのコンパウンドは、業界最高峰のウェットグリップ性能を誇ります。雨天時のアスファルトや、白線、給水所で水が撒かれた路面でも滑ることなく、確実な蹴り出しが可能です。
Qフルマラソン用とのことですが、5kmや10kmのレースで履くのはオーバースペックですか?
A全くオーバースペックではありません。170gという驚異的な軽さと、A-TPUフォームの即座な反発レスポンスは、5kmや10kmなどの高強度でペース変化が激しいショートレースにおいて極めて高いパフォーマンスを発揮します。
Q踵から接地する(ヒールストライク)ランナーですが、履きこなすことは可能ですか?
AMETASPEED EDGE TOKYOは上層に柔らかいフォーム、下層に硬めのフォームを配置し、踵から入っても前へ転がるように設計されています。そのため推進力の恩恵は十分に受けられますが、ヒール部分のアウトソールラバーが極端に少ないため、摩耗が非常に早まる点には注意が必要です。
Q前作(EDGE PARIS)を持っていますが、買い替える価値はありますか?
A新素材「FF LEAP」の搭載により、前作から約15〜20gの軽量化を果たし、クッションの柔軟性も大幅に向上しています。前作の硬めの反発が好きだった方には好みが分かれる可能性がありますが、より軽快で足当たりの優しい転がり感を求めるなら投資する価値は十分にあります。
まとめ
ASICS METASPEED EDGE TOKYOは、約170gという驚異的な軽量化と、新開発のA-TPU素材「FF LEAP」による極上のクッション性を融合させた、ピッチ型ランナーのための最高峰レーシングシューズです。V字形状のカーボンプレートがもたらす自然な転がり感は、ランナーが意識せずともピッチを引き上げ、フルマラソン後半の筋疲労が蓄積した局面において、歩数を落とさずにゴールまで押し切るための強力なアシストを提供します。
一方で、レースデイのパフォーマンスと軽量化に極振りした設計であるため、アッパーのホールド感やヒール周りの安定性は犠牲になっており、フォームが不安定なランナーや極端な過回内(オーバープロネーション)を持つランナーには不向きです。日々の距離踏みには「SUPERBLAST 3」を、テンポ走には「MAGIC SPEED 5」を充てるなど、目的に応じた厳密なシューズローテーション戦略の構築が必須となります。
[プロフィール]
- ラントク運営 じぇーぱぱ
- 中学、高校時代は100mを専門に活動
- 中学:全国大会出場 高校:東海大会出場
- 現在は市民ランナーとしてサブ3を目指して活動
