ニューバランスの中距離用トラックスパイク「フューエルセル スーパーコンプ MD-X v3」。検索でよく調べられているのは、短距離でも使えるかと、サイズ感です。先に答えると、400mとロングスプリントなら有力、100m・200mのレースは短距離用が向いています。サイズはいつものスパイクと同じが基本です。国内外で実際に履いた選手の報告をもとに、その根拠と、傷みやすいかかとの扱い方、On クラウドスパイク シティウス 2・PWR-X v3との違いまでまとめます。
Review
厚いFuelCellとカーボンプレートで、
弾みながらコーナーも安定する中距離スパイク。
特におすすめなランナー
- 800m・1500mで記録を狙う人
- 400mやロングスプリントの練習で脚を守りたい人
- スパイクにもクッションがほしい人
まずは結論とスペックから
このシューズがどんな一足なのか、評価と基本データを先に押さえます。
こんな疑問を解消します
New Balance FuelCell SuperComp MD-X v3 基本スペック
MD-X v3は、100% PebaxのFuelCellフォームにカーボンファイバープレートを組み合わせた、中距離用のトラックスパイクです。前作より前足部のソールを厚くし、ピンを取り外せるようにしました。国内では田中希実選手が着用しています。
| 価格 | 28,600円(税込) |
|---|---|
| 重量(メンズ) | 174.6g(公式・サイズの記載なし。海外のレビューではメンズUS9で174g) |
| ミッドソール | FuelCell(100% Pebax)+ カーボンファイバープレート |
| アッパー | 軽量メッシュ(昇華プリント) |
| スタック / ドロップ | ヒール19.7mm / 前足部18.2mm(ドロップ1.5mm)※公式の表記なし、海外のラボの実測 |
| アウトソール | 取り外し式のスパイクピン6本(6mmニードル付属) |
前作 MD-X v2 からの進化
結論として、MD-X v3で一番変わったのはソールの厚さとピンです。ニューバランスの発表では、ミッドソールを100% PebaxのFuelCellにして反発を高め、前足部のソールを厚くしました。あわせて、ピンを取り外して交換できるようになっています。
走った感覚としては、前作より重く厚くなり、「転がる系」のスパイクに変わったという声が目立ちます。前作と比べた100m 10秒台の選手は、走りの感覚が変わったので好みは分かれるとしつつ、幅にゆとりが出て、かかとも抜けにくくなったと評価しています。
短距離(100m・200m・400m)でも使える?
先に答えると、400mとロングスプリントの練習なら有力な選択肢。100m・200mのレースは短距離用スパイクのほうが向いています。MD-X v3は中距離用ですが、海外のレビューでは400m〜5,000m向けと紹介され、米国の400mの選手もレースで履いています。
国内の短距離の選手が実際に履いた報告を並べると、評価ははっきりしています。
| コーナー | 「安定感がすごい」(400m 50秒台のロングスプリンター)。100m 10秒台の選手も「若干ブレるが意外といける」 |
|---|---|
| スタート | 短距離用スパイク(SD-X)より出にくい。ただし、ほかの中長距離用スパイクよりは加速しやすい |
| 走った感覚 | 足裏全体でフラットに押していく感覚。「転がる系」のスパイクで、好みが分かれる |
| 練習 | ロング系の練習に優秀。海外の購入者からも「厚いクッションのおかげで、ハードな練習でもアキレス腱と脚が守られた」という声 |
| 重さ | 27.0cmの実測で169g。同じ選手の短距離用スパイク(SD-X)より20g以上重い |
MD-X v3が合う人:400m・400mハードルが中心/ロングスプリントの練習で脚を守りたい/コーナーで足元がブレるのが気になる
短距離用スパイクがいい人:100m・200mのレースで使いたい/スタートの出やすさを優先したい/つま先で地面をとらえる走りをしたい
同じニューバランスの短距離用は「FuelCell SuperComp PWR-X v3」です。公式は60〜400mのレース用としていて、靴底全体を覆う外付けのカーボンプレートに、ピン6本が組み込まれています。100m・200mで勝負するならPWR-X v3、400mより長い距離や練習も含めて1足で回すならMD-X v3と考えると選びやすくなります(くわしくは下の比較で)。
各パーツの構造
ミッドソール
ミッドソールは、100% PebaxのFuelCellフォームです。前作より前足部を厚くし、海外のラボの実測ではかかとが19.7mmと、スパイクの厚さの上限20mmぎりぎりまで使っています。その中にカーボンファイバープレートが入っていて、ラボの曲げにくさのテストでは31.6Nと、とても硬い結果でした。柔らかいフォームが沈み、硬いプレートが前へ押し返すので、「溜めがあって反発がいい」という声につながっています。実測のドロップは1.5mmとほぼフラットで、かかとから着地する走りには向きません。
アッパー
アッパーは軽量のメッシュに、大胆な昇華プリントを入れたもの。タンは1.1mm、インソールも1.8mmと極薄で、クッション材をほとんど使わずに軽さを優先しています。かかとは細く絞られていて、国内外で「かかとが抜けにくい」と評価されています。
アウトソール
前足部に、取り外せるスパイクピンが6本あります。国内のレビューでは6mmのニードルピンが付属していました。靴底の前足部は広く作られていて(ラボの計測で97.9mm)、踏み込みやコーナーでブレにくいのが特長です。一方で、かかと側のフォームは傷みやすいという報告があります。
買う前に知っておきたいこと
サイズ感・実際の使用感・耐久性と、寿命を伸ばす履き分けの考え方です。
サイズ感はどう?
先に結論を言うと、いつものスパイクと同じサイズが基本です。日本の公式はユニセックスの22.0〜29.0cm、幅はD(標準)の1種類。前作より幅にゆとりが出た一方、つま先周りがきついと感じる人もいるので、足幅が広い人は0.5cm大きめも試してください。
いつものスパイクと同じ。幅広の人は0.5cm上も試す
- 足幅(ワイズ):幅Dの1種類。ニューバランスらしく細身ですが、前作よりはゆとりがあります。
- 甲の高さ:タンは1.1mmと極薄で、紐でしっかり締めて足を固定する作りです。
- 他のスパイクとの比較:短距離用のSD-Xと同じサイズで合ったという報告。SD-Xのほうがつま先が細長く、少し余裕があります。
- 特記事項:かかとは細く絞られていて抜けにくい作り。前足部の靴底は広く、踏み込んだときに安定します。
実際に履いた人のサイズの報告
国内外の報告を並べると、「いつものスパイクと同じサイズ」が基本です。ただ、ニューバランスらしい細身の作りで、つま先周りがきつく感じる人はいます。
| 長さ | 短距離用スパイク(SD-X)と同じ27.0cmで問題なかったという報告。海外のランナーの投票では「やや小さめ」が多い |
|---|---|
| 足幅 | 日本の公式は幅D(標準)の1種類だけ。「ニューバランス特有の幅の狭さはあるが、前作よりゆとりが出た」という声 |
| 前足部 | 靴底の前足部は広めに作られていて、海外のラボの計測では97.9mm。踏み込みやコーナーで安定しやすい |
| かかと | かかとは細く絞られている(ラボの計測で65.7mm)。かかとが抜けにくいという評価が国内外で見られる |
短距離用のSD-Xと比べたロングスプリンターは、SD-Xのほうがつま先が細長く、少し余裕があると書いています。SD-Xなどの短距離用スパイクがきつく感じる人と、足幅が広い人は、いつものサイズと0.5cm大きいサイズを履き比べてください。海外には、外反母趾があるため1サイズ上を選び、幅は快適だったという購入者もいます。
実際に履いたランナーの声
国内外の選手の声を見ると、厚いクッションの弾みと、コーナーでの安定感を評価する声が多い一方、かかとの傷みやすさと、短距離のスタートでの出にくさを指摘する声もありました。
コーナーの安定感がすごい。クセがなく、誰でも扱いやすいスパイク
FuelCellが増えて厚底スパイクになり、クッションと反発を強く感じる。スパイクとしてはシューズの感覚に近い
厚いクッションのおかげで、ハードな練習でもアキレス腱と脚が守られた
一方で、次のような気になる声もありました。
シーズン終盤、片方のかかとのフォームが大きく裂けた。ほかのメーカーのスパイクでは起きなかった
スタートの出やすさは短距離用スパイクに劣る。つま先で接地したい人には合わない
「転がる系」のスパイクに変わったので、好みが分かれる
耐久性は?スパイクはどこから傷む?
スパイクは何km走れるかで寿命を測るものではありません。MD-X v3の場合、かかとのフォームとピン周りが先に傷むという報告があり、耐久性は高いほうではありません。
トラック専用で、大事に使う決戦スパイク
- かかとのフォームが、1シーズンの終盤に裂けたという報告がある。
- ピンの受け口が潰れたという声もある。ピン自体は取り外して交換できる。
- トラックの上だけで使った選手は、4レースで靴底に傷みなし。コンクリートを歩くかどうかで差が出る。
実際に使った人の報告:傷むのは「かかと」と「ピン周り」
スパイクは走行距離ではなく、どこが先に傷むかで寿命が決まります。MD-X v3の報告を並べると、弱いのはかかとのフォームとピン周りで、トラックの外を歩くかどうかで差が出ています。
| かかと | 200m・400mで1シーズン使い、終盤に片方のかかとのフォームが大きく裂けた(選手の家族)。「ナイキのスパイクでは起きなかった」とも |
|---|---|
| ピン周り | 片足のピンの受け口が潰れ、ひびが入ったという購入者の声 |
| トラックだけで履いた場合 | 4レース使って、靴底に傷みなし(選手の家族)。「コンクリートの上は歩かないで」とも書いている |
| ラボの評価 | 海外のラボの耐久テストでは、つま先側は5点中2点、かかとのパッドは4点 |
長く使うコツは、トラックの上でだけ履くことです。ウォームアップや競技場の中の移動は、別のシューズに履き替えてください。ピンは取り外せるので、すり減ったら交換できます。
履き分けの重要性
MD-X v3を長持ちさせるには、トラックの上だけで履き、ウォームアップや移動は別の靴に任せることです。種目の距離が長い日と、アップ・ジョグの日に、同じニューバランスの現行モデルを組み合わせると役割がはっきりします。
RACE / SPEED
400m〜1500mのレース・ポイント練習
New Balance FuelCell SuperComp MD-X v3
厚いFuelCellとカーボンプレートの反発で、レースと強度の高い練習を受け持ちます。トラックの上だけで履きます。
LONG RACE
5000m・10000m・障害物のレース
New Balance FuelCell SuperComp LD-X v3
同じシリーズの長距離用。154.4gと軽く、取り外せるピンは4本。障害物レースの水濠でも水が抜けやすいメッシュです。
WARM-UP / JOG
アップ・ダウン・ジョグの日
プレートのない軽いトレーニングシューズ。アップやジョグをこちらで済ませると、スパイクのかかとをコンクリートで削らずに済みます。
他の選択肢と比べてみる
練習メニュー別の相性と、ライバル2足との違いから最終判断します。
どんな練習に向いている?
結論から言うと、MD-X v3が最も活きるのは800m・1500mです。400mやロングスプリントでも評価が高く、100m・200mと、トラックの外での使用は向きません。
スタートの出やすさは短距離用に劣ります。練習で使う選手はいますが、レースは短距離用スパイクを。
コーナーでの安定感の評価が高く、厚いクッションでハードな練習でも脚を守れます。
本来の種目。厚いFuelCellの弾みと硬いプレートの反発で、レース後半まで押していけます。
公式は中〜長距離向けとしています。5000mより長い距離が中心なら、軽い長距離用のLD-X v3も候補に。
トラック専用です。アップやジョグは、かかとを守るためにも別のシューズで。
ライバルシューズとの比較
同じ用途で比較されやすい2足と並べてみます。
MD-X v3と比較したいシューズを選ぶ
On Cloudspike Citius 2 との違い
On クラウドスパイク シティウス 2は、Onが800m〜1500m用としているスパイクです。価格は19,800円とMD-X v3より8,800円安く、重さも18gほど軽くなります。1500m 3分台のランナーのレビューでは、沈み込む感覚は小さく、すぐに反発が返ってくる一方、失速してかかとから着地するようになると走りにくいとされていました。MD-X v3は厚いFuelCellが沈んでから押し返すので、レース後半まで脚に優しく、5000mまで守備範囲があります。軽さと鋭い反発、価格を取るならシティウス 2、クッションと安定感で後半まで押していきたいならMD-X v3です。シティウス 2はやや大きめという報告もあるので、サイズは試着で確かめてください。
New Balance FuelCell SuperComp PWR-X v3 との違い
FuelCell SuperComp PWR-X v3は、同じニューバランスの短距離用スパイクです。公式は60〜400mのレース用としています。靴底全体を外付けのカーボンプレートが覆い、ピン6本はプレートに組み込まれています。重さは日本公式で160g(米国公式は167g)と、MD-X v3(174.6g)より15gほど軽い作りです。MD-X v3は厚いFuelCellのクッションがあり、スパイクとしては脚に優しいのが違いです。100m・200mのレースで勝負するならPWR-X v3、400mより長い距離や、練習でも脚を守りながら使うならMD-X v3です。400mはどちらでも選べるので、スタートの出やすさとクッションのどちらを取るかで決めてください。
よくある質問
Q100m・200mの短距離でも使えますか?
A使えますが、レースなら短距離用スパイクのほうが向いています。国内の短距離の選手は、スタートの出やすさは短距離用に劣ると評価しています。一方、400mやロングスプリントの練習ではコーナーの安定感と厚いクッションの評価が高く、400m中心の選手なら本番にも練習にも使える1足です。
Qサイズはいつもと同じでいいですか?
Aいつものスパイクと同じサイズが基本です。日本の公式は幅D(標準)の1種類で、ニューバランスらしく細身です。足幅が広い人や、短距離用スパイクがきつく感じる人は、0.5cm大きいサイズも履き比べてください。
Qピンは交換できますか?
Av3から取り外し式になり、交換できます。国内のレビューでは6mmのニードルピンが6本付属していました。出場する大会や競技場の決まりに合わせて、ピンの種類と長さを選んでください。
Qトラック以外で履いても大丈夫ですか?
Aおすすめしません。かかとのフォームが裂けた、ピンの受け口が潰れたという報告があり、購入者の家族も「コンクリートの上は歩かないで」と書いています。ウォームアップや移動は別のシューズに履き替えると、長持ちします。
QLD-X v3とどちらを選べばいいですか?
A主な種目で決めてください。MD-X v3は中距離用で、400m〜1500mが中心の人向けです。LD-X v3は長距離用で、重さは公式で154.4gと軽く、取り外せるピンは4本。5000m・10000mや障害物のレースが中心ならLD-X v3が候補になります。
まとめ
フューエルセル スーパーコンプ MD-X v3は、100% PebaxのFuelCellとカーボンプレートで、厚いソールで弾みながら、コーナーでも安定する中距離スパイクです。本来の800m・1500mに加え、400mとロングスプリントでも評価が高く、サイズはいつものスパイクと同じが基本です。
一方で、100m・200mのスタートは短距離用スパイクに劣り、かかとのフォームは傷みやすいという報告があります。短距離で勝負するなら同じニューバランスのPWR-X v3、軽さと価格を取るならOn クラウドスパイク シティウス 2。MD-X v3を選ぶなら、トラックの上だけで履き、アップや移動は別の靴に任せて長く使ってください。
[プロフィール]
- ラントク運営 じぇーぱぱ
- 中学、高校時代は100mを専門に活動
- 現在は週2回の練習で、12月のハーフ120分を目指して再スタート中
この靴を履いている方は、Xで教えてください。
