ニューバランスのフルマラソン用レーシングシューズ「スーパーコンプ エリート v6(SuperComp Elite v6)」。前作v5から何が変わったのか、サイズはいつもどおりでいいのかは、3万円を超えるシューズだけに買う前に確かめたいところです。先に答えると、v6は軽さと反発を取り、アウトソールの丈夫さと安定感を削ったモデルです。国内外の実際に走った人の報告をもとに、v5との違い、サイズ感と2Eの有無、耐久性、ライバルとの比べ方までまとめます。
Review
新フォームInfinionとカーボンプレートで、
軽さと鋭い反発を手に入れた勝負靴。
特におすすめなランナー
- フルマラソンで自己ベストを狙う人
- 少しでも軽いレース靴がほしい人
- 前足部〜中足部で着地する人
まずは結論とスペックから
このシューズがどんな一足なのか、評価と基本データを先に押さえます。
こんな疑問を解消します
New Balance SuperComp Elite v6 基本スペック
SuperComp Elite v6は、新しいフォームInfinionのミッドソールに、湾曲させたフルレングスのカーボンプレートを組み合わせた、フルマラソン用のレーシングシューズです。2026年8月6日に発売されました。ニューバランスは「フルマラソンで自己ベストを狙うランナーに向けたトップモデル」としています。
| 価格 | 31,900円(税込) |
|---|---|
| 重量(メンズ) | 約198g(メンズ/公式) |
| ミッドソール | Infinionテクノロジーのフォーム+ フルレングスのカーボンプレート |
| アッパー | FANTOMFIT(半透明の極薄メッシュ) |
| スタック / ドロップ | ヒール40mm / フォア32mm(ドロップ8mm) |
| アウトソール | 超薄型ラバー(中足部はフォームがむき出し) |
前作 SuperComp Elite v5 からの進化
結論として、SuperComp Elite v6で一番変わったのはミッドソールのフォームです。前作v5のFuelCellから、新しいInfinionのフォームに変わりました。あわせてプレートは前足部に向かって厚みと剛性を高めた形になり、アウトソールは超薄型に、全体も前作より軽くなっています。
走った体感としては、前作より反発が鋭くなったという声が見られます(柔らかさは「前作より柔らかい」「ほぼ同じ」と分かれています)。国内のレビューでは、かかとから前足部まで重心がなめらかに移るようになったと評価されています。一方で、アウトソールが薄くなったぶん耐久性への不安が増え、安定感については評価が分かれています。
v5から買い替える?v5とv6の選び方
先に答えると、軽さとレース当日の反発を最優先するならv6、長く使える丈夫さと安定感を取るならv5です。v6は良くなった点と引き換えに、アウトソールと安定感を削っています。
| ミッドソール | v5のFuelCellから、新しいInfinionのフォームに変わった |
|---|---|
| プレート | 前足部に向かって厚みと剛性を高めた形に変わった |
| 重さ | 前作より軽くなった(公式は約198g) |
| アウトソール | 超薄型に。海外のラボの計測ではv5の3.5mmに対して1.1mm |
| 乗り味 | v5の穏やかな乗り味から、前足部で前に転がる感覚が強くなったという評価 |
v6に替える価値がある人:少しでも軽い靴でレースを走りたい/ハーフ以下のレースやスピード練習でも使いたい/前足部〜中足部で着地する
v5のままでいい人:1足を長く使いたい/かかとから着地する/フルマラソンの後半に安定感がほしい
安定感については評価が割れていて、「前作より形が崩れにくく安定した」という海外のレビューもあれば、「前作より安定感が下がった」「柔らかいフォームが沈み込んで不安定」という声もあります。ただ、かかとが細く、かかと着地には向かないという点は複数のレビューで共通しています。v5で困っていなかった人は、急いで買い替える必要はありません。
各パーツの構造
ミッドソール
ミッドソールは、前作のFuelCellに代わって、新しいInfinionテクノロジーのフォームを使っています。その中に湾曲させたフルレングスのカーボンプレートを入れ、今作ではプレートを前足部に向かって厚く、硬くしました。中足部の底はフォームをくり抜いた形(ENERGY ARC)です。海外のラボの計測では、エネルギーリターンがかかとで75.3%、前足部で79.4%と高い値でした。
アッパー
アッパーは、FANTOMFITを採用した半透明の極薄メッシュ。薄い素材を貼り合わせて、足を包むフィット感を出しています。かかとの芯はやわらかく、横からの支えはほとんどありませんが、かかとが抜けにくいという評価もあります。前足部から中足部は細めで、甲の上には空間が残りやすい形です。
アウトソール
アウトソールは、軽さを優先した超薄型のラバーです。海外のラボの計測では厚さ1.1mmで、前作v5の3.5mmから大きく削られました。中足部はフォームがむき出しで、ここが早く減るという報告もあります。濡れた路面のグリップは、ラボの計測では良好だった一方、国内のレビューでは「高いとは言えない」という声もあります。
買う前に知っておきたいこと
サイズ感・実際の使用感・耐久性と、寿命を伸ばす履き分けの考え方です。
サイズ感はどう?
先に結論を言うと、v5を履いていたなら同じサイズを基準に、必ず試し履きをしてください。長さは「いつもどおり」と「0.5cm下げた」で評価が割れています。幅はメンズD幅のみで、前足部から中足部は細めです。
前作と同じサイズを基準に、0.5cm小さめとも履き比べる
- 足幅(ワイズ):メンズはD幅のみ。前足部が少し細い、つま先の外側が絞られているという声が多くあります。
- 甲の高さ:甲の上に空間が残りやすく、紐を締めても指先の上が余るという声があります。
- 他ブランドとの比較:国内では「最近のNBは大きめだが、今作は前作と同じでよい」という声があり、長さの感じ方は人によって分かれます。
- 特記事項:アッパーは半透明の極薄メッシュ。かかとの芯はやわらかいものの、かかとが抜けないという海外のラボの評価があります。
実際に履いた人のサイズの報告
国内外のレビューを並べると、「長さ」の評価が人によって割れています。一方で、前足部から中足部が細めという点はほぼ全員が一致しています。
| 0.5cm下げた | 普段26.0cmで、26.0cmは縦に長すぎた。25.5cmで長さはちょうど良く、土踏まずの周りがやや窮屈(フル2時間47分のランナー) |
|---|---|
| 前作と同じ | 25.5cmでジャストフィット。最近のNBは大きめの印象だったが、今作は前作と同じサイズでよい(元サブ3のランナー) |
| 長さは標準 | 縦は標準的。前足部が少し細く、甲が高めで、紐を締めても指先の上に空間が余る(前作でサブ3を達成したランナー) |
| 海外 | 「いつものサイズ」という評価が多い。ただし、つま先の外側が細くやや短く感じるという声や、ラボの投票で「0.5cm小さめ」という結果も |
「つま先の外側が細い」「甲の上が余る」という声もあり、足の形によって長さの感じ方が変わりやすいシューズです。v5を履いていたなら同じサイズを基準に、店頭で0.5cm小さいサイズとも履き比べてください。
2E(ワイド)はある?
日本で売られているのは、メンズはD幅(25.0〜29.0cm、30.0cm)、レディースはB幅(22.0〜25.5cm)だけです。2Eやワイドの展開はありません。海外のレビューでも「幅を狭くした」「幅の広い人は、かかとと中足部が不安定に感じるかもしれない」とされています。足幅が広い人は、試し履きせずに買うのは避けてください。
実際に履いたランナーの声
国内外のランナーの声を見ると、軽さと、前作より鋭くなった反発を評価する声が多い一方、アウトソールの耐久性と、かかと周りの安定感を気にする声も見られました。
前作よりも鋭く反発し、軽くなったことで大幅に良くなったと感じる
前作より柔らかいのに、かかとから前足部まで一体感があり、重心がなめらかに移っていく
前作よりフォームの形が崩れにくく安定していて、ずっと走りやすいシューズになった
一方で、次のような気になる声もありました。
まだ40kmも走っていないのに、アウトソールのラバーの一部が半分剥がれてしまった
グリップ性は高いとは言えない。地面をつかんで蹴るより、スムーズに抜けていく感じ
とても柔らかいフォームが体重で沈み込み、安定感が足りない。フルやハーフより短いレース向き
寿命は何km?耐久性の目安
スーパーコンプ エリート v6の寿命は、まだ何kmとは言えませんが、レースシューズの中でも長持ちしにくい作りです。発売から2か月ほどで長い距離の報告は無く、数十kmの時点でアウトソールの摩耗や剥がれが報告されています。
アウトソールが薄い。本番のレースに温存
- アウトソールは超薄型で、海外のラボの計測では1.1mm。前作v5の3分の1以下の厚さしかない。
- 中足部はフォームがむき出しで、30〜60km台で外側の摩耗が報告されている。
- 国内では40km未満でラバーの一部が剥がれた例がある。ミッドソールのへたりより、ソールの減りが先に来そう。
実際に走った人の報告:数十kmで摩耗・剥がれの報告
スーパーコンプ エリート v6は2026年8月発売のため、100km以上走った報告はまだ見当たりません。今ある報告を並べると、ミッドソールのへたりより先に、薄いアウトソールと、むき出しのフォームが減るという状況です。
| 約32km | 中足部の外側の、ゴムで覆われていないフォームに軽い摩耗。アウトソールはほぼ無傷(海外のレビュアー) |
|---|---|
| 40km未満 | アウトソールのラバーの一部が半分剥がれた。瞬間接着剤で応急処置をしてフルマラソンを走った(国内のレビュアー) |
| 約64km | 前足部の外側でアウトソールが削れ始め、中足部の外側も摩耗(海外のレビュアー) |
| アウトソール | 海外のラボの計測で厚さ1.1mm。前作v5の3.5mmの3分の1以下 |
国内のレビューでも「アウトソールとミッドソールの高さが同じなので、ミッドソールが削れるのが早そう」と見られています。本番のレースと、レース前の仕上げの練習だけに使うのが現実的です。数百km走った報告が出たら、この表に追記します。
履き分けの重要性
SuperComp Elite v6は3万円を超えるうえ、アウトソールが薄く長持ちしにくいシューズです。日々の練習には同じニューバランスの現行モデルを組み合わせて、本番のレースに温存するのがおすすめです。
RACE
本番のレース〜仕上げの練習の日
New Balance SuperComp Elite v6
軽さと鋭い反発を活かして、自己ベストを狙うレースに使います。アウトソールが薄いので、練習ではレース前の確認程度にとどめます。
SPEED / TEMPO
テンポ走〜スピード練習の日
同じInfinionのフォームを使った、プレート入りの練習向けモデル(23,980円)。レースに近い感覚で、速いペースの練習をこなせます。
JOG / LONG
ジョグ〜ロング走の日
Infinionのフォームを使った、プレートのない厚底のデイリーモデル。クッションが厚く、距離を踏む日に脚を守れます。
他の選択肢と比べてみる
練習メニュー別の相性と、ライバル2足との違いから最終判断します。
どんな練習に向いている?
結論から言うと、SuperComp Elite v6が最も活きるのはレース本番と、レースペース以上の速い練習です。国内のレビューではキロ3〜4分台のペースに合うとされ、海外では5kmからフルマラソンまで使えるという声があります。
かかとが細く、ゆっくり走ると不安定になりやすい。アウトソールももったいない。
走れなくはないが、薄いアウトソールを日々のジョグで減らすのは損です。
レースペースの確認には向く。距離を重ねる練習は別の靴で。
軽さと鋭い反発で、速いペースに乗りやすい。レース前の仕上げに。
5kmからフルマラソンまで。かかと着地の人はフルの後半の安定感に注意。
ライバルシューズとの比較
同じ用途で比較されやすい2足と並べてみます。
SuperComp Elite v6と比較したいシューズを選ぶ
adidas Adizero Adios Pro 4 との違い
Adizero Adios Pro 4は、5本指のカーボンロッドと柔らかいクッションで、足を前に転がすレーシングシューズです。重さはほぼ同じで、価格はPro 4のほうが3,300円安くなります。国内のレビューでは、SuperComp Elite v6はPro 4よりコシがあるとされています。大きな違いは耐久性で、Pro 4はつま先にContinentalラバーを使い、300km前後まで反発が残ったという報告があります。本番に加えてポイント練習でも使い込みたいならAdios Pro 4、レース当日の軽さと鋭い反発を取るならSuperComp Elite v6です。どちらもかかとが細いので、かかとから着地する人は試し履きしてください。
Nike Alphafly 3 との違い
Alphafly 3は、前足部のAir Zoomユニットが強く跳ね返す、トランポリンのような反発が特徴です。重さはほぼ同じですが、価格はSuperComp Elite v6より8,000円近く高くなります。SuperComp Elite v6は、フォームとプレートで重心をなめらかに前へ運ぶタイプで、強く弾む感覚は控えめです。強いバウンドに身を任せたいならAlphafly 3、軽さとなめらかな重心移動で走りたいならSuperComp Elite v6です。なお後継のAlphafly 4は、日本では2026年10月29日に39,600円で発売される予定です。
よくある質問
Q2E(ワイド)モデルはありますか?
A日本ではメンズがD幅、レディースがB幅のみで、2Eやワイドの展開はありません。前足部から中足部は細めの作りです。足幅が広い人は、店頭で試し履きしてから選んでください。
Qv5を持っていますが、買い替えるべきですか?
Aレース当日の軽さと反発を少しでも上げたいなら、買い替える価値があります。ただしアウトソールは前作よりかなり薄く、かかとも細いので、1足を長く使いたい人や、かかとから着地する人はv5のほうが合う可能性があります。v5で困っていなかったなら、急ぐ必要はありません。
Qドロップは本当に8mmですか?
A公式は8mm(ヒール40mm / 前足部32mm)です。ただ、海外のラボが世界陸連の計測位置で測ると前足部は24.6mmで、ドロップは13.9mmでした。国内のレビューでも「スペックより3〜4mmほど薄く感じる」という声があり、前足部は数字ほど厚く感じないと考えておくと安心です。
Q雨の日のレースでも滑りませんか?
A評価が分かれています。海外のラボの計測では濡れた路面でも良好なグリップでしたが、国内のレビューでは「グリップ性は高いとは言えない」という声もあります。アウトソールが薄く、中足部はフォームがむき出しなので、雨のレースで使う前に濡れた路面で一度試しておくと安心です。
Qサブ4を目指すレベルでも履きこなせますか?
A海外では「ペースの遅いマラソンランナーにも選択肢になる」という評価がある一方、国内のレビューでは「サブ3狙いの守りのレースにおすすめ、サブ3.5〜4狙いには迷う」とされています。かかとが細いので、疲れてかかと着地になりやすい人は、30km走などで一度試してから本番に使ってください。
まとめ
スーパーコンプ エリート v6(SuperComp Elite v6)は、新しいフォームInfinionとカーボンプレートで、前作より軽く、反発も鋭くなったレーシングシューズです。かかとから前足部まで重心がなめらかに移り、5kmからフルマラソンまで、自己ベストを狙うレースで力を発揮します。
一方で、アウトソールは超薄型で、数十kmで摩耗や剥がれの報告があります。かかとと中足部が細く、日本ではD幅のみなので、足幅の広い人やかかとから着地する人は試し履きが欠かせません。速い練習の日はSuperComp Rebel、ジョグやロング走の日は1080v15を組み合わせて、このシューズは本番のレースに温存してください。
[プロフィール]
- ラントク運営 じぇーぱぱ
- 中学、高校時代は100mを専門に活動
- 現在は週2回の練習で、12月のハーフ120分を目指して再スタート中
この靴を履いている方は、Xで教えてください。
