ASICSの「GLIDERIDE MAX 2」は、足首の屈曲を減らしてふくらはぎやアキレス腱への負荷を軽減する独自設計を採用し、ランナーのエネルギー消費を最小限に抑えることに特化したデイリートレーナーです。今作はアッパー素材の刷新による劇的な軽量化と、新開発フォームによるライド感の向上が図られ、日々のジョグからフルマラソンまで幅広く対応できる万能性を獲得しました。
Review
沈み込みすぎないクッションと、
圧倒的な転がりで脚を残す万能シューズ。
特におすすめなランナー
- 脚の疲労を抑えて長距離を走りたい
- サブ4から完走を目指したい
- ペースを自動的に維持したい
まずは結論とスペックから
このシューズがどんな一足なのか、評価と基本データを先に押さえます。
ASICS GLIDERIDE MAX 2 基本スペック
GLIDERIDE MAX 2の最大の変更点は、新素材ウーブンアッパーの採用による約20gの大幅な軽量化です。クッション性と剛性のバランスが最適化されたミッドソール構造により、極厚ソールでありながら足回りのもたつきが消え、より軽快で効率的な足運びが可能になっています。
| 価格 | 19,800円(税込) |
|---|---|
| 重量(メンズ) | 約267g(メンズ27.0cm目安/公式値。実測では261gや25.5cmで235gという報告も) |
| ミッドソール | FF BLAST MAX + FF BLAST PLUS + HARD EVAプレート |
| アッパー | ウーブンアッパー |
| スタック / ドロップ | ヒール42mm / フォア36mm(ドロップ6mm) |
| アウトソール | HYBRID ASICSGRIP + AHARPLUS |
前作 GLIDERIDE MAX からの進化
結論として、GLIDERIDE MAX 2で一番変わったのはアッパー素材とインソールです。ソールの基本設計を継承しつつ、ウーブンアッパーの採用で約20gの軽量化を実現し、インソールもOrtholiteからEVAへ変更されました。
走った体感としては、インソール変更により着地時の局所的な沈み込みが抑えられ、ソールのロッカー形状(転がり具合)をより鮮明に感じられるようになったことが一番の違いです。全体の重量が軽くなったことでテンポアップが容易になり、シューズが足の動きを強制しすぎる感覚が薄れ、ランナー自身のペースコントロールに柔軟に対応できる自然なライド感へと進化しています。
各パーツの構造
ミッドソール
ミッドソールは、上層に軽量で弾力性に富む「FF BLAST MAX」を、下層にやや硬めで安定感をもたらす「FF BLAST PLUS」を配置したデュアルデンシティ(2層)構造を採用。特筆すべきは、中足部から前足部にかけてこれら2層のフォームの間に挟み込まれた「HARD EVAプレート」の存在です。このプレートはカーボンプレートほどの強烈な弾き返しはないものの、ソールの屈曲を適度に制限することで、ASICS独自のGUIDESOLEテクノロジー(前方への強力なロッカー形状)を維持し、着地から蹴り出しまでのスムーズな重心移動をナビゲートします。この構造により、足首関節の過度な背屈が抑制され、アキレス腱やふくらはぎの筋肉群にかかる機械的な負荷が顕著に低減されます。
アッパー
アッパーには、軽量性とホールド感を両立した「ウーブンアッパー」が新たに採用されました。2層構造のメッシュから単層に近い構造へと変更されたことで、外気を取り込む通気孔の役割を果たす隙間が直接足に触れるようになり、長時間のランニングや日本の高温多湿な夏場の環境でも足の蒸れを効果的に逃がす設計となっています。また、中足部からかかとにかけては編み込みの密度を高くすることで、かかとの横ブレを防ぐ強固なヒールロックダウンを実現しています。
アウトソール
アウトソールは、接地面の広範囲に優れたグリップ力を誇る「ASICSGRIP」と、かかと外側などの摩耗が激しい領域に耐摩耗ラバー「AHARPLUS」を組み合わせた「HYBRID ASICSGRIP」を採用。軽量化のために中央部には深いスリット(溝)が設けられていますが、外周部分はしっかりとラバーで覆われており、着地時の土台としての広さを確保しつつ、濡れた路面でもスリップを防ぐ確実なトラクションを提供します。
買う前に知っておきたいこと
サイズ感・実際の使用感・耐久性と、寿命を伸ばす履き分けの考え方です。
サイズ感はどう?
先に結論を言うと、いつものASICSと同じサイズでOKです。適度なホールド感と前足部のゆとりが両立しており、長時間の着用でも足へのストレスが少ない設計です。
いつものASICSと同じサイズでOK
- 足幅(ワイズ):スタンダード幅でも前足部に適度なスペースがあり、ワイド幅展開も用意されています。
- 甲の高さ:標準的。伸縮性が控えめなウーブンアッパーにより、シューレースでカッチリと固定できます。
- 他ブランドとの比較:HOKAやNikeの同等モデルと比較すると、横幅は標準的だが縦の長さに十分な余裕があります。
- 特記事項:かかとのホールド性が非常に高くシューズ内で足が滑るのを防ぎますが、シュータンが薄いため紐を強く結びすぎると甲に食い込む場合があります。
実際に履いたランナーの声
国内外のレビューデータを分析すると、極厚ソールでありながら沈み込みすぎない「適度な硬さ」と「転がりの強さ」が、ペース維持を容易にしているという評価が際立っています。
EVAプレートと強いロッカーのおかげで、無意識のうちに足が前に転がり、ジョグのペース維持が格段に楽になった
前作よりもアッパーの通気性が格段に向上しており、長距離を走破しても足が蒸れにくく快適さが持続する
クッションがフワフワしすぎず適度な硬さの芯があるため、着地時のグラつきがなく、足首周りの疲労が少ない
一方で、次のような気になる声もありました。
シュータンが薄いナイロン調の素材でできているため、靴紐をきつく縛りすぎると足首付近に食い込む感覚がある
厚底特有の強制的なロッカー形状が強いため、疲労抜きの極端に遅いリカバリージョグだとシューズの転がりに急かされる感覚がある
かかとのヒールカウンターが高く硬い作りになっており、足首の動かし方によってはアキレス腱付近に擦れを感じることがある
寿命は何km?耐久性の目安
構造的な堅牢さと使用されている素材の特性から、トレーニング用として非常にタフな運用が可能です。
耐摩耗性が高く、ロッカーの転がり効果も最後まで持続
- 広範囲に配置されたHYBRID ASICSGRIPアウトソールは摩耗に対する耐性が極めて高く、アスファルト中心の環境でも長期間グリップ力を維持します。
- ミッドソールのFF BLAST MAXフォームは走行距離を重ねるにつれてわずかにマイルドな足当たりへ変化する傾向がありますが、底付き感やヘタリは出にくく、ロッカー形状の転がり効果は最後まで持続します。
- ただしランナーの体重や接地パターンによっては、500km前後でEVAプレート周辺の反発力が低下し、重心移動の滑らかさがやや失われるケースも報告されています。
履き分けの重要性
本モデルは、脚のダメージを最小限に抑えながら、一定のリズムで淡々と距離を積み重ねるトレーニングにおいて真価を発揮します。より速いペースでのポイント練習や、完全な疲労回復を目的とする日には、以下のようなローテーションが理想的です。
JOG / LONG
日々のジョグ〜ロング走の日
独自のロッカー構造と沈み込みすぎないクッションが、少ないエネルギー消費で効率よく長距離を走破する手助けをしてくれるためです。
SPEED
ペース走やインターバルの日
軽量かつフルレングスのカーボンプレートを搭載しており、厚底で硬さのある本モデルでは難しい高強度のスピード練習やレースペースの感覚を養うのに最適なためです。
RECOVERY
疲労抜き・疲労が溜まっている日
ロッカーの強制力が少なく、PureGELと極厚の柔らかいフォームが、極端に遅いペースでも足への衝撃を最大限に和らげてくれるためです。
他の選択肢と比べてみる
練習メニュー別の相性と、ライバル2足との違いから最終判断します。
どんな練習に向いている?
生体力学的なサポート機能を活かした巡航が得意なため、中〜長距離の走り込みで最大のパフォーマンスを発揮します。
クッション性は十分ですが、ソールに剛性があり転がりが強いため、極端に遅いペースだとシューズに急かされる感覚があります。
足運びが非常にスムーズで、無意識のうちにテンポ良く、リズミカルで心地よいペースを刻むことができます。
大幅な軽量化とEVAプレートの反発力により、キロ5分〜4分半程度のペースアップにもストレスなく対応できます。
ソールの厚みと硬さがあるため、急激な加速や接地時間の短いスプリント的な動きには不向きです。
サブ4から完走を目指すランナーであれば、後半の疲労時でも推進力を維持できる強力な武器となります。
ライバルシューズとの比較
同じ用途で比較されやすい2足と並べてみます。
GLIDERIDE MAX 2と比較したいシューズを選ぶ
HOKA Bondi 9 との違い
Bondi 9は、ミッドソールに反発と柔軟性を兼ね備えたスーパークリティカルEVAを新たに採用し、足全体が優しく包み込まれるような極上のクッション性を提供します。ソールの底面が広く安定性に特化しているため、極端に遅いリカバリージョグやウォーキング、足底筋膜炎などの痛みを持つランナーの保護に優れています。一方GLIDERIDE MAX 2はクッションに芯があり、EVAプレートと強いロッカーによって「前へ転がす」推進力に重点を置いている点で大きく異なります。疲労困憊の脚を極上の柔らかさで癒やしたいならBondi 9、フォームを維持しながら省エネで一定のペースを刻み続けたいならGLIDERIDE MAX 2です。
New Balance Fresh Foam X More v6 との違い
Fresh Foam X More v6は、ドロップが4mmと低く設定されており、ブランド史上最大量のFresh Foam Xが生み出すマシュマロのようなフワフワとした接地感が最大の特徴です。シューズの転がりに頼るのではなく、広大な接地面積と柔軟なソールによって、ランナー自身の自然な足の動きのまま究極のソフト感を味わうことができます。対してGLIDERIDE MAX 2はドロップが6mmあり、シューズ自体が強制的に重心を前へ導くガイド機能を持っているため、よりリズミカルな足運びを促します。自然な足の動きのままソフト感を味わいたいならFresh Foam X More v6、フォームを維持しながら省エネで一定のペースを刻み続けたいならGLIDERIDE MAX 2です。
よくある質問
Q初心者が最初の1足として選んでも足に負担はかかりませんか?
Aクッション性が高く着地衝撃を十分に吸収するため、足への負担は少ないです。ただし、ロッカー形状により体が自動的に前傾する独特の感覚があるため、最初は歩行などで少しずつ慣らすことをおすすめします。
Qサブ4(4時間切り)を狙うフルマラソンの本番用として使えますか?
A非常に適しています。EVAプレートとロッカー構造が、後半に脚の筋力が低下した際にも自然な足運びをサポートし、ペースの落ち込みを防いでゴールまで導く手助けをしてくれます。
Q内蔵されているEVAプレートは、カーボンプレートとどう違うのですか?
Aカーボンプレートのような強力なバネとしての跳ね返しはありません。EVAプレートは適度な柔軟性を持ち、ソールの過度なねじれを防ぎながらロッカーの転がりをスムーズに引き出す「ガイド役」として機能します。
Q見た目がかなりボリューミーですが、走っていて重さは気になりませんか?
A公称値267g(メンズ27.0cm)と厚底の中では十分に軽量化されています。走行時はテコの原理で足が前に転がるため、物理的な数値以上に足運びが軽く感じられるという評価が多数を占めています。
Q前作(GLIDERIDE MAX)を愛用していますが、買い替える価値はありますか?
A買い替える価値は大いにあります。アッパーの素材変更による約20gの軽量化と通気性の向上に加え、インソールがEVAに変わったことで沈み込みが減り、よりダイレクトでテンポの良い走りが可能に進化しています。
まとめ
GLIDERIDE MAX 2は、独自のロッカー構造と安定感のあるクッションにより、ランナーの生体力学的な無駄を省き、最小限のエネルギー消費で距離を稼ぐことに成功した傑作デイリートレーナーです。前作からの軽量化と通気性の劇的な向上により、日々のジョグから週末のロング走、サブ4を目指すフルマラソンの本番まで、幅広いシチュエーションで頼りになる汎用性の高さが一番の魅力です。
一方で、フワフワとした極上の柔らかさを求める人や、足裏の接地感をダイレクトに感じて自身の筋力で走りたい人には向いていません。強制的にペースを作られる感覚が苦手な方にも不向きです。よりソフトで足の自然な動きに追従するクセのない履き心地を求める場合は、同ブランドのGEL-NIMBUS 28や、HOKAのBondi 9などを代替案として検討することをおすすめします。
[プロフィール]
- ラントク運営 じぇーぱぱ
- 中学、高校時代は100mを専門に活動
- 現在は週2回の練習で、12月のハーフ120分を目指して再スタート中
この靴を履いている方は、Xで教えてください。
